はじめに
こんにちは。
たこのこです。
先日、サークル員と開発したビジュアルノベルゲーム『水彩画は水底に沈む』を東京ゲームダンジョン13に出展してきました。
その様子は別の記事にまとめています。
本稿では、本イベントで収集したデータまわりをまとめました。導線まわりの知見が得られるような記事になっていれば幸いです。
調査の目的
本調査では、実際の操作履歴からプレイヤーの行動傾向を分析することで、「どうやって操作すれば良いのか分からない」「ゲームを進める方法が分からなくなった」といった、導線の弱さから起こるゲーム体験の停滞を前もって対策できるようにします。
(こういう調査報告な文章を書く方法を調べたところ、調査の目的を書くと分かりやすくて良いとのことでしたので真似しました)
どんなゲームを展示したのか?
『水彩画は水底に沈む』は、ポイント&クリックアドベンチャーゲームです。背景の描かれたイラストが提示され、該当箇所にカーソルを合わせてクリックすることで、テキストが表示されたり、音が鳴ったり、物語が進展したりするなど、ゲームから反応が返ってきます。
このゲームシステムに加えて、本作では快適にゲームを進められるよう、クリック可能な箇所にカーソルが重なった際、クリック可能である旨を示すテキストと効果音が提示されます。
ゲームの説明は以上です。具体的なゲームの内容に興味のある方は、Steamのストアページに詳しく書かれているので確認してください。
https://store.steampowered.com/app/4389120/_/?l=japanese
データ分析手法
2026年8月8日に東京都立産業貿易センターにて開催された「東京ゲームダンジョン13」の参加者の内65名に、本作の試遊を依頼し、その操作履歴を記録しました。

この記録作業はゲーム側で自動実行され、クリックの座標やイベント呼び出しの時刻が記録されました。
本稿では、収集したデータを加工し、メッセージが提示されてから次にクリックするまでの経過時間や、シーンごとのクリック箇所の分布、試遊時間を棒グラフやヒートマップなどの図表にまとめました。
なお、データを加工する過程で、ゲームの一時停止中に行われた操作や、同じ箇所の連打といった外れ値の操作履歴は除外しています。
結果
各イラストのクリック箇所を可視化したものを記載します。








次にプレイ時間です。

クリック回数です。セリフを次に進めるためのクリックやUIを操作するためのクリックは省いています。

最後は、セリフが提示されてからクリックでセリフが進められるまでにかけた時間の平均です。

クリック位置について思ったこと
クリックされやすい物品の傾向
- 画面の中央付近にあることが多い
- どちらかと言えば画面の上側にある
- 周囲よりも濃い色で描かれていることが多い
- 周囲と区別されて描かれていることが多い
- 人の顔が含まれている
これは今後に使えそうです。
教室のイラストは分かりやすくクリックできそうなアイテムが置かれていたので、クリックされる場所も物品に集中しています。

対して、階段のイラストでは、窓や階段といった大きい物品が配置されているので、クリックされる箇所が分散している傾向を見て取れます。

ただ、階段のイラストに限らず、他のイラストでも想像以上にクリック位置が分散しているなと感じました。
そこで、クリック回数の多いデータを個別に確認したところ、手当たり次第にクリックしてゲームを進めているケースを確認できました。

画面上をなぞるようにしてカーソルを動かし、クリック可能な箇所を探す遊び方を想定していたので、これは改善の余地がありそうです。何もない所をクリックしたらエラー音が鳴るとか、カーソルの乗ったクリック可能な箇所がハイライトされるとか…
そういえば、何もない所がめちゃくちゃクリックされているように見えますが、これはチュートリアルを閉じたり画面遷移をしたりするためのクリック履歴がデータに含まれていたためです。
机の脚部分だったりキャンバスの右あたりです。



(図示する前にデータから省いておけばよかった…)
プレイ時間について思ったこと
プレイ時間の平均値は442秒で標準偏差103秒でした。6~7分に31人(約54%) が集中していて、そこそこプレイ時間がまとまっています。多くの人に想定通りの流れでゲームを遊んでもらえたと考えます。

ただ、中には3分から4分と短い時間で試遊版のエンディングを迎えたプレイヤーや、11分から12分と長い時間をかけたプレイヤーも含まれています。
そこで、3分から4分でクリアした方のデータを個別に確認したところ、セリフを読むスピードが0.4秒から0.5秒と比較的速い部類でした。また、11分から12分の方はその逆で、約2秒かけてセリフを読んでいました。
このことから、プレイヤーの物語への興味関心がプレイ時間に影響していそうだな、と考えましたが、試遊版は特定箇所をクリックすることでエンディングを迎える条件が満たされるので、意図せず試遊版を終了してしまったケースが考えられそうです。
「もっと物語を読みたかった」といった不都合を防ぐためにも、不可逆的な物語の進展が起こる直前に「進みますか?→YES/NO」といった選択肢を設けても良さそうです。
セリフを読む速度について思ったこと

セリフが表示されてから次のクリックまでの時間の平均値は約0.84秒、標準偏差は0.35秒でした。標準偏差が平均の42%程度あるので、プレイヤーのセリフを読む速度にはそこそこ分散している、という結果になりました。
なので、文章中心のノベルゲームともなれば、プレイ時間はかなりの幅が生まれそうです。「文字を読む速度って人によって違うだろうな」と思っていましたが、こうしてグラフにしてみると実感が湧きます。

補足ですが、本作では、長くても20文字くらいのセリフがパッと表示されるようになっています。セリフも1行ずつ表示されます。
セリフの文字数と読む速度の関係を図示しても面白そうです。
キリがないのでまた今度…
おしまい
データ集めて加工するの楽しい…
楽しいだけでなく、意外な傾向を読み取れたり、有効なゲームの改善策を編み出せたり、良いことしかないので、今後作るゲームはデータの自動収集を標準搭載することにします。
なんなら、オンライン上でデータを収集しても良さそうです。ただ、実装方法がピンとこないので、通信周りの技術にも強くなりたいです。
プレイヤーの年齢層や性別、これまでのゲームプレイ履歴だったりも一緒に収集して分析したいところですが、ガッツリ個人情報なので扱いに困ります。機密情報保持のようなものを用意する必要があるのでしょうか?法に触れそうなので慎重に行きたいです。
あと、外れ値を省くのにかなり手間がかかったので、加工段階をもっと効率化したいなと思いました。そもそものデータ形式が扱いにくかったので、プレイ履歴の収集段階で工夫したいです。
以上です。
ゲームダンジョン13は、展示イベントの展示側として参加した点でも良い経験になりましたが、こうしてデータを集められた点でも有意義だったと感じました。思った以上に収穫があったので、今後のゲーム開発に生かしたいです。

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